錦秋

 日陰でじっとしていると寒いが、登るにはこれくらいがちょうど良い。空気も岩も乾いてこれで登れなければ自分のせいだと思うしかないね。

 錦秋を安直にgoo辞書で引くと「紅葉が錦の織物のように美しい秋」とある。錦の織物がどれ程美しいのか知らないが、紅葉を見て美しいと感じない人間はそういないと思う。とりわけ岩場での紅葉は錦の織物なぞ目じゃないぞと。

 紅葉は葉っぱ自体としては盛りを過ぎた落葉寸前の状態だと思うけど、これを人間がきれいと感じるのが何故なのか分からない。新緑ももちろんきれいだし文句はないが、個人的には紅葉に少しだけ負けている気がする。

 冬をやり過ごして早春にググっと出てくる若葉の新緑を好ましく感じるのは当然だけど、紅葉ってのは人間でいえば前期高齢者くらいだよね。そりゃあ中には前期高齢者でも美しいヤツもいるだろうけど、それは例外でしかない。若い者にかなうワケがない。

 コンペクライマーじゃなけりゃ本人が楽しめればよい。だからグレード落としてその時の力でチャレンジングなルートを登ればよいはず。過去どのグレードまで登ったかによってどこまで落とせるか許せるグレードってのがあるかもしれない。できればそんなこと言わずにどこまでもグレード落として登り続けたいね。レジェンドクライマーが歳いってから易しいルートを悠々と登ってるもカッコイイと思う。それこそ錦秋だよと言えば言い過ぎだけど、でもまあ、そういうこともヘボだから言えるのかなあ。 (G3)