ボルト間隔

 転進、とも思ったが、それじゃあ駐車料金が丸損。とりあえず逃げるに早そうな左岸スラブへ。世の中分からないもので、天気予報大外れで午後には青空が見えてきた。読みが当たったのいうのではない、ただのまぐれ。

 天気に限らず、クライミングでもまぐれというのはあるよね。デッドで手を飛ばしたらたまたま良いところに指が掛かったなんてのが。まあ、多くの場合そうはいかないんだけど。

 フリーソロという映画を観た。エル・キャピのフリーライダー(5.12d)37ピッチを4時間足らずでアレックス・オノルドがフリーソロで登る例のあれ。あの核心部の空手キックがまぐれで止まることを期待してフリーソロはあり得ないけど、でも、どのくらいの確信があって臨んだのだろうとも思う。

 確かに素晴らしい挑戦だし、感動的ですらある。しかしアレックスの語る「幸福な世界には何も起きない」という人生観はどうなんだろう。もちろんそういう生き方があって良いのだけど、そうだよねとは決して言えない。何かイヤな感じが付きまとう。クライマーだから良いけど、単に「幸福な世界には何も起きない」と言われると危なさ感じてしまう。

 そうは言ってもまあ、小川山のボルト間隔をスポーツクライミングの視点から見れば「幸福な世界には何も起きない」的な匂いが若干するかもしれないね。 (G3)