登れたルート

 前兆通りちょうど引き上げるころにポツポツと雨が降り始めた。そしてもう一つラッキーなことに、今までさんざん手こずっていたルートをやっとこさ落とせた。

 いつもではないにしても多くの場合、登れてしまったルートは易しく感じる。登れないうちはグレード辛いじゃないかと文句垂れてても、登れるとなるほどグレード通りだなと。岩の乾きとか、体調とかいろいろあるんだろうけど、ホールドデカいし近いじゃない、なんで今までできなかったんだ。

 でもねえ、同じ手と足で同じムーブ起こしてるつもりでも何か違うんだろうね。ただそれがどう違うかが分からない。だからもう1回やってみろと言われると自信ない。これじゃあなにも蓄積しない。次につながらない。上手くなってないじゃない。

 そうは言っても今までその積み重ねで少しは進歩してきたんだから、頭ではわからなくても身体が覚えているのかも。達成感はあるし、安堵感もあるんだから、これがクライミング続ける動機にも十分なる。一度登れても納得するまで何度も取付けば着実に上手くなるかもしれないけど、そうすると修行みたいになって楽しくなさそう。なのでとりあえず満足して、次行ってみよう。 (G3)