板登り

 強烈な台風が週末にやって来る直前のつかの間の晴れ間に峠を越えてジムでトレーニング。いや、トレーニングといって良いのかどうか。ここは人によってかなり感覚が違うところ。FRPの消防署も板登りトレーニングか。

 人工壁でのクライミングがトレーニングなら目的は外岩だけど、外岩でのショートルートがトレーニングで目的はアルパインという場合もある。でも岩登り自体がもとは山のテッペンに立つために通過せざるを得ない難所だった時代は、岩登りは山登りを目的とする手段だったと思う。更に言い出せばキリがないけど、長きに渡って山は柴刈りや狩猟など生存活動の場であり、あるいは信仰の場であって、酔狂で山を登るアルピニズムはここ百年余りのことだというから、山登りが目的化したのも結構最近のこと。

 柴刈り→山登り→岩登り→フリークライミングと進んで、今はボルダリングとスポーツクライミングが先端かな。しかしここが到達点かどうかはわからない。競技としてはトップロープでとか、下に網を張ってフリーソロでとかなるかも。そうやって登る技術だけを競う更なるスポーツ化と、あくまでも岩と向き合うことに価値を見出す「岩登り」とに分化しそうな気もする。

 クライミングに限らず、そうやって生存活動の面白そうな断面を切り出して拡大し、さらにそこから切り出しと拡大を繰り返して今のあらゆるスポーツは確立されたんだろうね。それも食うためだけに生きなくて良い時代になったということがベースにあるからで、人類の偉大な進歩の証だと、そこまでは能天気にはなれないけど、まあ、そういう部分もなくはない。 (G3)