名残惜しい

 10本ほどあったホールド色別ルートが半分になり、テープ課題は消滅。写真を見るとまだまだホールド結構付いてるけど、ここまで長い間親しんできた目にはスカスカに見える。それでも登れていない黒ホールドはまだ存在している。残ったわずかな時間で登り切れるかというと、うーん、登れんかなあ。

 適度なアップルートもあり、一撃では登れないけど何度目かにやっと登れたルートもあり、何度もやってるけどまだ登れてないルートもある。茅野CC メンバーの設定だけどとても素晴らしい設定だった。長い間楽しませてもらいました。

 名残惜しいが、しかし、10日経てばさらに素晴らしいルートが設定されるはず(天気さえ荒れなければ)。こんな田舎人工壁にもったいないじゃないか、と言われてしまいそうなレジェンドお二人がセッターです。ノーマットにこだわっている、というのはウソで、お二人ともとても柔軟。それぞれのスタイルで登れば良いんだよって言ってくれる、とここまで言えば誰だかは大抵わかる。

 それぞれのスタイルでというのは、どんなスタイルでも良いということではない。そこのところはうまく説明できないけど、途中を全部飛ばして言ってしまえば、岩に対する憧憬、自己欺瞞の否定さえ失わなければそれぞれのスタイルで、ということかな。

 クライミングは自己申告。特にボルダリングは一人ぼっちが多いからなおさら。他人に褒めてもらうために登るのではないからエビデンスは不要。世のため人のためにならない自己満足に過ぎないのだから、自分でズルしたと自覚する登りじゃあ何やってんのか本末転倒。そこの辺りの線引きが他人よりシビアだから、外野にはノーマットじゃないとと見えてしまったりする。彼らがこだわっているのはそんな外面的なスタイルではなくて、クライマー自身の内面ではないかと思う。

 誰だか忘れたけど、某有名クライマーが言っていた。その人にとって本当に価値があるなら低山ハイキングでも良いのだと。バリバリのクライマーが高難度ルートを登るのとそれは等価なんだと。そういうことなんだろうね、それぞれのスタイルでというのは。 (G3)